混戦が予想される今季のプレイオフ。そのポイントや展望をBSフジ「bjリーグTV」の解説でおなじみ、河内敏光氏が占う。

<セミファイナル第1試合 大阪 vs. 大分>
レギュラーシーズンの対戦成績:大阪5勝3敗


●王者大阪 vs. くせもの大分
ベンチプレーヤーを含めた総合的な戦力からみると、大阪が有利。しかし今年の大分は対戦相手を上手く自分達のペースに巻き込むことが出来る。レギュラーシーズンを見ても、大阪vs.大分はロースコアの戦いが多い。つまり大阪の得意とするハイスコアのゲームに持ち込めておらず、大阪にとって大分は非常に戦いにくい相手と言えるだろう。大阪らしい速いバスケットが出来れば勝利は確実だが、一方で大分のペースにはまる可能性も十分考えられる。それだけに勝敗の行方を予想するのが難しいカードだ。

●ヤマ場は大阪ベンチが動くとき
大阪は劣勢に立たされると、ディフェンスをマンツーからゾーンに変える。さらにシックスマンであるパルマーも入れてくる。となると外国人4人+波多野という、大型選手が揃ったチームになる。その高さを生かした攻撃で一気に流れをつかむのが大阪の必勝パターン。ここで大分は大阪に流れをつかませないのが勝敗のポイント。自分達のオフェンスペースを崩さず、テンポよく得点を重ねることが出来れば、この勝負は大分に分がある。そして今年の大分はそれが出来るから怖い。

●大分のキーマンはマーシャル
大阪のゾーンディフェンスではインサイドでエリスにマークが集中する。そのため簡単にエリスはボールを持てないだろう。そこでマーシャルがどう動くかがキーポイントとなる。マーシャルが3Pを狙って外から打つ展開になると大阪の思うツボだ。マーシャルはシューターではないので、3Pの成功率は高くなく、さらに彼がオフェンスリバウンドを取れなくなる。鈴木、三友、エリスが外から打って、オフェンスリバウンドにマーシャルが飛び込む展開こそが、大分の得意とするパターン。マーシャルは無理して3Pを狙うのではなく、そこからドライブし、大阪DFを小さくしておいて、外から鈴木らに3Pを打たせる余裕がないとだめだ。

<セミファイナル第2試合 新潟 vs. 高松>
レギュラーシーズンの対戦成績:新潟1勝3敗


●ロースコアは新潟、ハイスコアなら高松
今季新潟は得点が伸びずに苦しんだ。その最大の原因は外からの3Pが入らなかったこと。したがってこの試合、新潟のキーマンとなるのは小菅だろう。彼の3Pが入らないと、新潟のファイナル進出は厳しい。シーズン中、非常に波があった小菅がどこまで安定して得点を伸ばせるかが勝敗のカギを握る。そしてもう一つ、高松をロースコアに押さえられるかどうか。しかし高松はメンバー全員が満遍なく得点をとれるチーム。シーズン終盤で中川も加わり、さらに得点力は上がった。当然ハイスコアな展開が予想される。となると新潟にとって相当厳しい戦いとなるだろう。

●中川の爆発が脅威
対する高松は今季、大阪に5勝3敗、新潟に3勝1敗と、上位チームに勝ち越している。その相性の良さと、bjリーグ参戦1年目の勢いは短期決戦では脅威となる。アシスト王とスティール王に輝いたスパークスが起点となり、多彩な攻撃を仕掛けるのが高松の特徴。しかし、スパークス以上に注目したいのは中川。シーズン途中の加入に加え、ケガで1ヶ月離脱するなど、わずか277分のプレータイムだったが、131得点も叩き出した。3P成功率が49.1%という得点力の高さをプレイオフでいかに発揮できるか見ものだ。

●新潟のプライドと高松の勢い
対戦成績を見ると高松が有利だが、終盤になって新潟が本来の調子を取り戻してきたのも見逃せない。アウェイの富山との最終戦で、13点差をひっくり返して逆転と、新潟らしい勝ち方。シーズン、最後の最後で新潟らしさが戻ってきたという感じ。これで気持ちよくプレイオフに乗り込んでくるだろう。ケガ人も戻りリフレッシュして戦うことが出来るだけに、どんな戦いぶりを見せてくれるのか楽しみだ。試合巧者の新潟vs.チャレンジャー高松の一戦は目が離せない。

<bjリーグセカンドシーズン、優勝の行方は…!?>

●ファイナルの組み合わせで優勝が見えてくる?
もし新潟が高松を下してファイナルに進んだ場合、相手が大分であれば優勝は新潟。反対に大阪だったら、おそらく新潟の優勝は厳しいだろう。その大阪もファイナルの相手が新潟ではなく高松であれば、高松に軍配が上がる可能性が高い。レギュラーシーズンでは5勝3敗で高松が勝ち越しており、大阪が唯一負け越したのは高松だけ。出来るならファイナルで当たりたくない相手だ。一方、上位陣にめっぽう強い高松だが、大分が相手だとなかなか勝てない。シーズン成績は2勝6敗と大きく負け越しており、苦手意識は強い。高松vs.大分のカードになれば、大分が優勢とみていいだろう。つまりファイナルの組み合わせが、新潟vs.大分だと新潟。新潟vs.大阪だと大阪。高松vs.大分だと大分。高松vs.大阪だと高松が有利。対戦カードによって優勝の行方が見えてくるのかもしれない。

●セミファイナルを見逃すな!
しかしファイナル進出チームは?と聞かれると答えるのは難しい。セミファイナルがどんな展開になるか全く読めないからだ。セミファイナルが大きなヤマ場となるだけに、ぜひ会場に足を運んでもらいたい。これを見逃したらプレイオフの楽しさが半減してしまうといっても過言ではないほど、面白い試合となるだろう。

●ブースターも一丸となって
ゲームが接戦になればなるほど、ブースターの声援が力を与えてくれる。今回のプレイオフは有明コロシアムをホームアリーナとするチームはない。どのチームもアウェイでの勝率はホームより劣る。だからこそ、いかに有明をホームの雰囲気に持っていけるかが重要となってくる。ゴール裏をチームカラーに染め、選手とブースターが一丸となったチームがチャンピオンに輝くことになるだろう。

(取材・文/柴田愛子)