3年目を迎えるbjリーグ。2007-2008シーズンは新たに2チームを加えた10チームが激闘を繰り広げる。今年はカンファレンス制の導入など新たな試みもあり、さらなる盛り上がりが期待される。今シーズンのみどころや展望をBSフジ「プロバスケ! bjリーグtv」の解説でおなじみ、河内敏光氏(bjリーグコミッショナー)が占う。

■イースタン・カンファレンス

仙台89ERS
ディオウフが抜け、得点力に不安の残る仙台。持ち前のディフェンス力で、失点を最小限に抑えることがシーズン序盤を乗り切る術だろう。昨年スタートダッシュに失敗したことで、シーズン全体を通して勝率5割を行ったり来たり。それだけに今年は開幕後の数試合が正念場となる。昨シーズンの二の舞にならぬよう、いいスタートが切れるかがシーズンを占う上で重要となってくるだろう。

新潟アルビレックスBB
ゴール下の要であるデービスが移籍したことで、今までのプレースタイルを変えざる得ない状況となった。今までのようにオフェンスリバウンドは取れないことを想定し、アウトサイドのシュート成功率を上げることで、デービスが抜けた穴を埋める。昨年は怪我人が続出し、若手が伸び悩んだ感のある新潟。しかし、プレシーズンゲームでは順調な仕上がりを見せ、シューターも着実に育っている。今年が正念場となるであろう新潟が、どんな戦い方を見せてくれるかに注目。

富山グラウジーズ
富山は外国人選手が総入れ替えとなり、新メンバーが日本のバスケに馴染むまである程度の時間が必要だ。チーム固めの段階だけにシーズン序盤は苦しい戦いが予想される。そんな中、3Pに期待のかかる蒲谷の加入は大きい。既存の日本人選手も昨年一年間で大きく成長した。bjリーグで2年目を迎える今シーズンは、日本人がチームを引っ張る。

埼玉ブロンコス
東カンファレンスのダークホースとなるのはこのチーム。過去2シーズンは下位争いに甘んじている埼玉。試行錯誤のチーム状況の中、日本人選手のプレーイングタイムが増えたことで、チームの底上げに成功。さらにディオウフを獲得したことで、得点力のアップも期待できる。レベルアップした日本人とチームにフィットした外国人。今年は非常にバランスのいいチームに仕上がっている。今シーズンは十分上位を目指せる実力を持ち合わせているといえるだろう。

東京アパッチ
昨シーズンは最下位に終わった東京。オフェンス力の高いチームだけに、ディフェンス面の脆さが目立った。しかし今年は一味も二味も違う。リーグNo.1のディフェンス力を持つデービスが加入し、最重要課題だったセンターの補強に成功。そしてさらにシューターの城宝を加えることで、今まで足りなかったピースが全てそろったといえるだろう。万全のメンバーで臨む今シーズンは優勝候補の一角を担うに違いない。

■ウェスタン・カンファレンス

大阪エヴェッサ
3連覇を狙う大阪にとって昨年のMVPパルマーが抜けたのは大きな痛手だ。しかし大分から機動力のあるマーシャルを獲得。彼がどれだけアジャストするかがシーズン序盤の課題だろう。とはいっても大阪の強みはリーグ随一の「安定感」。また、「勝負どころ」を知っているのも、さすが2連覇を成し遂げた王者といえよう。その抜群の安定感で今年もリーグを引っ張っていくに違いない。

高松ファイブアローズ
昨季、新規参入ながらファイナルへと駒をすすめた高松。打倒大阪に燃える高松は、大阪の高さに対抗すべく、リーチを獲得。さらに大型化した高松が大阪相手にどこまでインサイド勝負できるかに注目だ。また日本人プレーヤーの活躍も期待できる。岡田優の3Pに加え、今年は竹田のダンクにも注目したい。この2人のプレーは確実にチームを盛り上げるだろう。

ライジング福岡
福岡はフルタイム、オールコートゾーンプレスをできるだけのスタミナと脚力を持っているチーム。そのスタミナは脅威。だが、福岡の最大の強みはHCのニューマンだろう。彼は欧州・中東・中国など数カ国でHCを歴任し、レバノンのナショナルチームを率いた経験も持つ。相手の弱点を見事についてくるベンチワークで、試合の流れを引き寄せるだけのスキルを持ち合わせている。その手腕で試合をどう組み立てていくか大いに楽しみだ。

大分ヒートデビルズ
バラエティ豊かなチームがひしめき合う西カンファレンスにおいて、一番苦労するのは大分ではないだろうか。昨年とほぼ同メンバーで臨む今シーズン。大阪、新潟のように安定したチーム力を持ち合わせているのなら、選手の入れ替えは必要ないのかもしれない。しかし大分は昨シーズン、プレイオフにこそ進出したが、一歩抜け出る強さと底力はなかった。新しい血が入らないことでチームが活性化しないのでは?と懸念される。メンバーの入れ替えがなかったことが吉とでるか凶とでるか、シーズン序盤で答えが出るに違いない。

琉球ゴールデンキングス
バスケ熱の高い沖縄から参戦した琉球ゴールデンキングス。沖縄をホームとするチームだけに、個人技で魅せるバスケをしてくるだろう。爆発力はあるがその分チームとしては安定性に欠けるのが沖縄の弱点。HCのヘルナンド・プラネルズも30歳と若く、チームもまだまだ発展途上といえる。しかし一旦勢いにのったらなかなか止められない恐さがある。どれだけ西カンファレンスを引っ掻き回してくれるか期待しつつ、シーズンを通して成長していく姿を見守りたい。

■カンファレンス展望

東は新潟・東京、西は大阪・高松
今年は44試合と試合数も増え、東・西カンファレンス制度を導入した。初めての試みだけに東西の違いがどう影響するかも楽しみの一つといえる。東は新潟・東京、西は大阪・高松がリーグを引っ張るだろう。そこに新規参入の福岡・沖縄がどの程度絡んでいけるかも注目だ。ダークホースは埼玉。派手さはないが、着実に実力を伸ばしてきているチームだけに、台風の目となる可能性は高い。さらに注目してもらいたいのは、東西のチームがぶつかり合う交流戦だ。これを機にリーグ順位が大きく変動する可能性がある。カンファレンス制度ならではの醍醐味をブースターの皆さんには楽しんでもらいたい。

取材・文/柴田愛子